今回はこちらの本紹介の後編になります!

『緊張をコントロールして最高の結果を出す技術』ー石津貴代
まだ前編を読んでいない方は、ぜひそちらから読んでみてください。
→【緊張は対策できる】本紹介:緊張をコントロールして最高の結果を出す技術(1/2)
前編では、緊張には5つのタイプがあることをお伝えしました。

皆さんはどのタイプに当てはまりましたか?
後編では、各タイプへの具体的な対処法をご紹介します。読み終わったあと、ぜひ一つでも今日から試してみてください。
タイプ①プライド型の対処法
プライド型の緊張は「どう見られているか」が気になりすぎることから起きます。自分に自信を持てず、相手から評価されたい・完璧な自分でいたいと、自分に対するハードルを高く設定しがちです。そんなプライド型の緊張をする人の対処法は『矢印法』と『セルフトーク』です。
矢印法:矢印を「自分→相手」に向ける
対処法はシンプルです。意識の「矢印」を切り替えること、これだけです。その方法が「矢印法」です。

緊張しているとき、意識の矢印は「相手→自分」に向いています。
「上手くいかなかったら監督から怒られるかもしれない」
「失敗したらチームメイトからどう思われるかな」
…こんな具合に、相手の気持ちが常に気になってしまう状態が「相手→自分」の状況。
この矢印を「自分→相手」に切り替えます。「自分が今できることは何か」「チームのために今自分がすべきことは何か」と、自分ができることに集中します。その際のポイントは以下の通り。
⚫︎ 自分がすべきことを明確にする
本番の前に「これだけは頑張る」ということを頭に入れておきます。その際には、「大きな声を出す」「笑顔を忘れない」「シュートを外してもディフェンスを頑張る」など、シンプルなテーマひとつに絞るとGOOD。
⚫︎ コントロールできることだけに集中する
審判のジャッジ、相手のプレー、チームメイトのミスは自分にはコントロールできません。自分の動きや声など自分でコントロールできるものだけに目を向けましょう。
⚫︎ 「今、この状況」にフォーカスする
例えばバスケットのフリースローを想定した場合、1本目を外すと不思議と2本目も失敗しがちです。シュートを外すという「前の失敗」が再び起こる確証なんて本当はないのにもかかわらずです。そしてその外したシュートが試合の勝敗を分けるかどうかなど、「この後どうなるか」も分かりません。今この瞬間だけに集中しましょう。
⚫︎ 相手の反応を深読みしない
「Aさんがあの表情をしてるってことは、さっき自分がしてしまったことで不機嫌になってしまったのかな」など、自分の憶測で相手をネガティブに解釈する必要はありません。相手の気持ちはコントロールできないですし、実は自分の誤解だったということがほとんどです。
セルフトーク:自分で自分に暗示をかける
矢印法とは違うやり方に、セルフトークをするという方法があります。これはプライド型以外でもとても役に立ちます。
少し話がそれますが、皆さんは『シロクマの実験』をご存知でしょうか?VTRで自然界のシロクマの1日が流れる中、こう言われます。
「シロクマのことは考えないで、違うことで印象に残った場面をあとで話してください」
そうすると、不思議とシロクマのことしか頭に入ってこなくなる、という実験です。
「⚫︎⚫︎をしないように」という否定形の言葉は、失敗をしたくない際には実は逆効果です。シロクマの実験の通り、否定形の言葉には脳が逆に反応するようになっており、「失敗しないように」と思うと余計に失敗するイメージが湧いてきてしまうからです。そこで、こんな言葉を使ってみるのがオススメです。
- 自分のやれることに集中しよう!
- 一つひとつ、丁寧にプレーしよう!
- 大きな声で、ゆっくり動こう!
- 今日のテーマを最後まで貫こう!
ポイントは自分が行うことであること・具体的な行動であること・否定形を使わないことです。このポイントを押さえていれば、セルフトークで自分自身を励まし緊張を緩めることができます。
タイプ②コンプレックス型の対処法
コンプレックス型の緊張は「自分に自信がない」ことが根本にあります。何に対して自信が持てていないのかは様々ですが、原因のほとんどが「褒められたことが少ない」か、逆に「過保護にされた」という経験がある人に多いとのこと。
コンプレックス型の緊張を緩めるには時間が必要ですが『自己肯定感アップ法』を試してみてはどうでしょうか?
自己肯定感アップ法:日記を作る

著書ではワークシートを作成したり、努力を認め合う機会を作るなどの方法が紹介されていました。読んでいてとても効果的で素晴らしいと思う一方で、成長期の皆さんには難しいのではないかとも思いました。そこで、日記を作るのはいかがでしょうか?それも、簡単に自分で頑張ったと思えたことを記すひと言、ふた言の文章です。
・シュートを⚪︎⚪︎本打ち込んだ
・ストレッチをいつもよりした
・今日は声を出せていた気がする
・コーチから⚫︎⚫︎を褒められた
「こんな小さいことでもいいの?」と思うようなことでも大丈夫です。書き出すことで、自分が実はどれだけ多くのことを乗り越えてきたかが見えてきます。
それでも難しければシンプルに「シュート練習ノート」など、競技に合わせてコツコツ行わなければならない練習1つをピックアップして、それだけを記すのも効果的だと思います。
コンプレックス型の人は、他人から褒められても「いや、そんなに頑張っていない・努力してない」と言いがちです。そんな自分自身に、こんなにやってきたんだぞと“証拠”を見せつけてあげましょう。自分が頑張ったことや成長の証を見つけられるはずですよ。
自分は自分
コンプレックス型の人は、自分自身の評価を下げがちです。下げた方が、余計なプレッシャーを感じなくて済みますし、自信満々の相手とぶつかり合わなくて済むからです。ですが、それを必要以上に行なってしまうのは問題です。いざ大切な場面で自分に注目が集まると自信がなくなり緊張してしまうからです。
コンプレックス型の緊張は、不思議とプロスポーツ選手や芸能関係などで多いです。単純に考えると、そのような人たちは「人より優れた何かがある」からなれるものだと思いますよね。ですが、いざプロの世界に入ると、自分よりもすごい人たちがたくさんいることに気づきます。その隙をついて、コンプレックスが囁きます。
「自分なんてこんなレベルなんだ」
「あいつはすごいな、自分なんて…」
「自分はまだまだ頑張れていないんだな」
そんな時に、自分が頑張ってきたことを冷静に考えてみると
「実は前よりも良い成績を残せてるじゃん」
「すごいとは思うけど、別にあの人になりたいわけじゃないんだな」
「あいつより成果を残したいって思ってたけど、この競技が好きだから自分はやってるんだな」
といった具合に、相手を認めながら自分も認めることができるようになります。
他人の価値と自分の価値は別物です。自分だけが持っている強みに目を向けてみましょう。
タイプ③トラウマ型の対処法
トラウマ型の緊張は、過去のショックな体験が今も心に残り続けていることで発生します。一生懸命取り組んだことが否定されて傷つく、大事な場面で失敗してしまい次が怖くなるといったケースが多いです。そして、トラウマ型の緊張を感じる人は総じて真面目な人が目立ちます。他人から見たら大したことではないのに「ちょっと失敗しちゃった」で済ませられないのです。つまり、トラウマとなった出来事の大きさではなく、その人の捉え方に問題があるとも言えます。
他のタイプより克服に時間がかかることもありますが、ちゃんと方法があります。それが『声かけ法』です。
あのときの自分へ「声かけ法」

想像でも勿論良いですが、できればぬいぐるみや人形を「あのときの自分」だと思って、今の自分が声をかけてみましょう。
- 「残念な出来事だったけど、自分を責めることはないよ」
- 「つらかったけど済んだことだから大丈夫」
- 「あの時はあの時なりに一生懸命頑張った!」
過去の辛い経験から少し時間が経って当時を振り返ってみると、今思えば大したことじゃない・今だったらこうやって対処するなと、上手に乗り越える力がついていることは多いです。
もし自分自身に対して考えるのが難しい、恥ずかしいと思う場合は、「もし傷ついたのが自分の後輩やチームメイトだったら、どんな言葉をかけるか?」と考えてみてください。思いついた言葉をそのまま自分に使えばOKです。
大事なのは自分で言うことです。自分の中から言葉を出すためには、その辛さを認め、気持ちの整理をつける必要があるからです。自分で納得できた時に初めて過去の自分(チームメイト)に声をかけることができます。
タイプ④準備不足型の対処法
これまで紹介してきたタイプの緊張は、その人の経験や元々のキャラクターによって引き起こされるものでしたが、準備不足型の緊張は誰でも陥る可能性があります。楽天的でポジティブな人が多く「なんとかなるでしょ」の精神で物事を進めますが、実際にはなんとかならないことがほとんどです。本番で実力を出し切るためには、やはり準備が欠かせません。そんな際に役立つのが『計画推進力アップ法』と『開き直り力』です。
計画推進力アップ法

準備不足、つまりやるべきことを先延ばしにしてしまう人は、自分の取り組んでいるものがどうなれば成功と言えるのかをイメージしていないことが多いです。そこで、まず「どんな本番にしたいか」をリアルに思い描いてみましょう。
試合なら「最後まで全力でプレーし、終わったあと仲間と笑顔でハイタッチできる」といったイメージです。この「最後のイメージ」があってはじめて、「そのために何を準備すべきか」が見えてきます。もし時間を取れるのであれば、付箋などでやるべきことを書き出すのがおすすめです。「いつまでに」「何を」「どのように」という形で書き出せるとGOODです。準備を「見える化」していきましょう!
開き直り力
さて、準備不足は自分のせいだとしても、「準備したくてもできなかった」「そもそも準備できない状況だった」こともありますよね。
そんなときは堂々と開き直ってしまいましょう。準備ができなかったのであれば当然ゴールを定めたり、やるべきことを挙げるなんてできず、今ある自分の力でやり切らなければなりません。「もし失敗したとしても仕方がない。準備ができなかったんだから」と割り切る“開き直り力”が大切です。ただ、心に留めておくべきことは、プライド型で紹介した矢印法です。上手くやろうとすると、矢印の向きは「相手→自分」になってしまいます。その向きを「自分→相手」に変えて、今自分ができることに集中するようにしましょう。
タイプ⑤未経験型の対処法
未経験型の緊張は「経験したことがない」「知らない環境」への恐怖から来ます。そもそも緊張は生物として生き残るための自然な反応と前編でお話ししましたが、“未知のもの”はそれだけで危険なもので、緊張しやすい要素といえます。
ですが、逆に言えば、「頭の中で経験したことにしてしまえば」緊張は薄れます。それが未経験型の対処法である「イメージリハーサル法」です。
準備段階から終了後までのストーリーをイメージする

前日の夜から当日の準備、試合本番、終了後まで、自分の動きや気持ちを想像してシミュレーションしてみましょう。時間があれば時系列で紙に書き出すとわかりやすいです。
例えばこのような具合です。
前日の夜:どのような気持ちでどうやって過ごすか
当日の朝:何時に起きる、どんな気持ちか
朝食:何を考えて、何を食べるか
その後も、何時に家を出て何時に到着し、会場に到着したら…と、全てを具体的に細かくイメージしていきます。
もし初めての場所や状況であれば、「下見をする」「友達に聞く」「写真や動画で確認する」など、できるだけ情報を集めると良いですね。情報が増えるほどよりリアルにイメージが湧きます。
また、「相手が予想外に強かったとき」「想定外のトラブルが起きたとき」など複数のシナリオもイメージしておくと、本番でのイレギュラーへの対応力が上がります。
まとめ——緊張は「コントロール」するもの
5つのタイプ別対処法を紹介してきました。最後に整理しておきます。
| タイプ | 対処法 | キーワード |
|---|---|---|
| ①プライド型 | 矢印法、セルフトーク | 意識を「自分→相手」へ |
| ②コンプレックス型 | 自己肯定感アップ法 | 日記でできたことを書き出す |
| ③トラウマ型 | 声かけ法 | 過去の自分を今の自分が救う |
| ④準備不足型 | 計画推進力アップ法 | ゴールのイメージ |
| ⑤未経験型 | イメージリハーサル法 | 繰り返しシミュレーション |
みなさんがスポーツをするしないにかかわらず、緊張は様々な場面で向きあっていかなければならないものです。良い緊張感は良いパフォーマンスを引き出してくれますが、過度な緊張は自分の実力発揮の邪魔になります。
前編でもお伝えしましたが、緊張は「なくすもの」ではなく「コントロールするもの」です。まずは自分のタイプを知り、自分に合った方法を今から探してぜひ実践してみてください。最初は「やっぱり上手くいかないな」と思うでしょうが、続けていくうちに少しずつ“自分の緊張対策”が生まれるはずです。
例えば中学1年生の頃から緊張としっかり向き合うことで、3年生の中体連や高校受験では緊張を味方にできるはずです。
本番で力を出し切れる選手になるため、今回の記事が少しでも役立てば嬉しいです。
また、本の中ではより細かく・わかりやすくそれぞれのタイプを解説してくれたり、緊急対策法なども紹介してくれています。気になる方はぜひ本を手に取ってみてください!


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